覆われた皮膜

まるでドロッとしたゲル状の何かの皮膜に覆われて、
何も見えず聞こえず、ひとりよがりに打ちひしがれて、
自分を包む何かを剥がしては捨て、ぬぐっては放り投げる。

 

ひとまず呼吸はできる。
皮膜越しに明るくて温かい陽も見える。

 

この厚い皮膜を脱ぎ捨てたら、
もっと色んなものが見えたり聞こえてくるかも知れない。
ひとりよがりにならずに済むかもしれない。

 

オタマジャクシが卵から孵って蛙になるように、
この重く取り巻く何かを脱ぎ捨てて、
もっと前に飛び出して行きたい。

 

忘れてはいけないのに見えなくなってしまう。

 

私にだって、
あたたかで柔らかい春は、
確かに訪れている。