流れてゆく時間

車を走らせる。

流れてゆく風景、

流れてゆく時間、

重ね合わせながら

君を思い出す。

 

まだ葉のつかない樹の枝が

どんどん流れてゆく。

雲の流れと空の色、

肌に触れる風、

あの時と少し似ている、

そんなことをふと思う。

 

寒いというには骨身に染みず、

温かいというには肌が冷える、

そんな温度感で風景を重ね合わせる。

 

何度も指でなぞらえていた記憶。

忘れないように何度も思い返した記憶。

でも君の名前を再びみてから

何故か途端に記憶が薄れ出した。

 

日に日に断片的になる欠片。

静止画が細切れのように重なる。

 

新しい記憶が重なって

上書き保存されるみたい。

本当は全部覚えていたいのに。

 

暮れる空に枯れた枝が伸びる。

よく目を凝らせば

芽吹いているかも知れない。

 

少し寒いけれど

厚着では汗ばむような

冬の始まりや終わりにことさら思い出す。

 

今ごろ、

何処でどんな風景を見てるのかな。

透けて見えたらいいのに。

 

空の遠くを祈るように見つめた。

元気で過ごしてますように。